日本とオーストラリア、恋愛観の違い:我慢する私と率直な彼のすれ違いと学び

率直に思いを伝える男性と我慢する女性が話し合っている。

国が違えば文化が違う。文化が違えば、価値観も違います。
私たちがこれまでぶつかってきたのは、性格の不一致ではありません。「当たり前」の基準がそもそも違っていたからでした。
「我慢は美徳」そう思ってきた私と、「思っているなら言うべき」と考える彼。
時には心をすり減らし、時には怒りをぶつけ合いました。そこには、文化の違いがもたらす「すれ違いの真実」がありました。

私たちの出会いを知りたい方はこちらもお読みください。

目次

文化の違いがぶつかるとき

お互いを指さしながら思いを爆発させる男女カップル。

私たちは文化が違う者同士です。だからこそ、お互いを尊重することを何よりも大切にしてきました。でも、尊重だけではどうにもならないこともあります。ときには、少しの我慢や、ほんの小さな努力が積み重なって、ある日突然、心の奥で爆発を起こすことがありました。

私はずっと「我慢は優しさ」だと思ってきました。
相手を傷つけないように、角が立たないように、自分の気持ちを押し殺す。それが日本では大人の対応であり、人間関係を円滑に保つ知恵でもあります。
でも、彼にとってはそれが逆効果だったのです。
我慢することは「何かを隠している」「本音を言ってくれない」「信用されていない」と感じる要因になっていました。
これは、まさに日本とオーストラリアの文化的価値観の違いがぶつかった瞬間でした。

爆発した日。お互いが傷つけ合った言葉

すれ違いは、ある日突然、表面に噴き出しました。
私が我慢して溜め込んできたもの、彼が「なぜ言ってくれないのか」と感じていた不満、その両方が限界を超えたときです。

ある日、彼は私に向かってこう言いました。
「あなたは自己愛性パーソナリティー障害なんじゃないか?」
あまりにもショックでした。私は自分なりに歩み寄っていました。言葉を選び、空気を読み、気を遣っていたつもりでした。でも、それが伝わっていなかったのです。それどころか、「自分中心で、他人の感情に鈍感な人」と見なされていました。私の優しさが、真逆の意味で受け取られていたのです。

もちろん、私も黙ってはいられませんでした。
あなたこそモラハラよ!」私はそう言い返していました。
本音を言うこと=支配やコントロールの手段のように感じられる場面もあり、「どうしてそんなに強く言ってくるの?」と怖くなることもありました。

今思えば、どちらも本心ではありません。傷ついた心が、相手に一番痛い言葉を投げてしまっただけです。でも、そのときは本当にお互いが「この人とはやっていけないかもしれない」と思うほど、関係はギリギリの状態でした。

私の中で起きた“マインドチェンジ”

窓際で自分の心に問いかけ悩みを解決しようとしている女性。

このままではいけない。前に進まなくては。
そう思ったのは、何度目かのけんかのあと、泣きながら1人で夜を過ごしたときでした。
「私はなぜ、本音を言うのがこんなに怖いのだろう?」自分の心に問いかけました。そして、私は日本的な「我慢の文化」に深く根ざしているということに気づいたのです。彼と出会ったことで「言わなくてもわかってほしい」「空気を読んでほしい」そんな無言の期待は一切通じないという世界に私は生きていたのです。

そこから少しずつ、自分の気持ちを言葉にして伝えるという努力を始めました。これは想像以上に大変なことでした。
元々私は、はっきりものを言うタイプでもありました。その力を借りながら、少しずつオージーの価値観に自分を慣らしていきました。しかし、本音を伝えることが、関係を壊すことではなく、関係を深めることだという感覚を、日本人である私の心に理解させるのは難しいことでした。「本音を伝える=傷つける」から「本音を伝える=関係を深める」というマインドチェンジには、時間と経験が必要でした。

今の私は、文化の翻訳者かもしれない

気がつけば、私の中には「日本人の私」と「オーストラリア人の私」が共存するようになっていました。
パートナーとの会話では、思っていることはきちんと伝えます。遠慮せず、でも感情的になりすぎないように気を付けています。
一方で、日本の友人や家族と話すときには、ストレート過ぎる言い方にならないよう、とても気を使っています。今では、日本人と話すときのほうが、私には努力が必要かもしれません。気を悪くさせないように、遠回しに、やわらかく。それが日本では大切なコミュニケーションだからです。

私はいつの間にか、ふたつの文化の翻訳者のような存在になっていました。
どちらの文化も正しいし、どちらも難しい。でも、その間に立ってバランスを取りながら生きている自分に、少しだけ誇りを持てるようになりました。

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この記事を書いた人

日本とオーストラリア、二つの国に縁を持つWebデザイナー兼ライター。
オーストラリア人のパートナーとともに、多文化な価値観に触れる日々を送りながら、三人のティーンエイジャーの母としても奮闘中。
このブログ「Two Country Life」では、実体験をもとに、日本とオーストラリアの暮らしや文化の違いを発信し、異文化理解の架け橋となることを目指しています。

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