日本とオーストラリアの家族感の違い:調和と自立から見える文化の本質

森の中で微笑むティーンエイジャーと父母。

日本とオーストラリアの家族観は、驚くほど異なる価値観の上に成り立っています。
日本では「調和」や「役割」を大切にされます。そのため、家族という単位を円滑に機能させることに重きを置く傾向があります。
一方、オーストラリアでは「自立」や「個人の自由」が強調されています。よって、家族はあくまで個人を支える存在として機能します。
ここでは、両国の家族感の違いを、文化的背景と実生活の視点から比較していきます。

ジェンダー観の違いを知りたい方はこちらもお読みください。

目次

日本の家族観に根付く「調和」と「役割」

日本では、家族という単位が社会の基本単位として強く機能しています。そのため、家庭内にはっきりとした役割分担や年功序列の意識が存在します。
子どもは親の意向を尊重し、全体の「和」を乱さないことが重視される文化です。表立って主張するよりも、空気を読みながら行動する姿勢が良しとされます。家庭内でもこの価値観が自然に受け継がれています。

年功序列と家族内の上下関係

和を乱さないよう、穏やかに団らんする3世代家族。

日本では、年長者を敬う文化が家庭内にも深く根付いています。
親や祖父母の意見は絶対とされます。そのため、子どもは「従う」姿勢を自然に身につけていきます。こうした上下関係は、礼儀や行動様式にも表れています。そして家庭内での秩序を守る基盤となっています。日本では、三世代同居が比較的多くみられます。これも、年長者を尊重し、家族全体のつながりを重視する傾向のあらわれといえるでしょう。

「空気を読む」文化と家庭内調和

日本では、直接的な表現よりも「察する」「気をつかう」ことが美徳とされます。
家族間でも、自分の意見をはっきり伝えるよりも、相手の気持ちを読み取ります。このような調和を優先するスタイルが一般的です。たとえ本音とは異なる行動でも、場の空気を乱さないことが何より大切にされます。これが日本的な家族のあり方です。

オーストラリアの家族観に見る「自立」と「個人の尊重」

オーストラリアでは、家庭内でも個人の意見や価値観が大切にされます。
親子であっても対等な関係性が築かれることが多く見られます。自己主張や自分の意思を持つことは成長の一環として重視されています。そのため、子どもは早い段階から一人の人間として扱われます。また、家族はお互いを支え合う存在です。しかしその一方で、それぞれの「自由」や「選択」を尊重する文化が根付いています。

親も子も対等な関係

外のベンチに座り対等な関係で会話を楽しむ娘と父母。

オーストラリアでは、家庭内でも対等な関係が尊重されます。
親は子どもに指示をするのではなく、「どう思う?」「あなたはどうしたい?」と問いかける姿勢が基本です。
オーストラリアでは、自己主張は大切なスキルとされています。そのため、子どもが自分の考えをしっかり伝えることは、健全な成長の証とみなされます。

支え合いながらも「自由」を尊重

家族は互いに支え合う存在である一方、それぞれの「好き」や「価値観」も大切にします。
たとえば、18歳になると子どもが家を出て一人暮らしを始めるのは自然なことです。私のパートナーは16歳で一人暮らしを始めました。そして結婚しても親と距離を置く関係が普通です。また、同性カップルやひとり親家庭なども尊重されています。こうった多様な家族のかたちが社会的に受け入れられています。

家族感の違いがもたらす暮らし方の違い

日本とオーストラリアの家族観の違いは、日常の暮らし方や家庭内の役割にも大きな影響を与えています。
家事や育児の分担、親子の距離感、進路の選び方などがその例です。細かな生活の中に文化の違いが表れています。家庭内での役割分担はもちろんのこと。子どもが自分の人生をどう選択していくかにも、国による考え方の違いが色濃く反映されています。

家の中での過ごし方と役割分担

協力し合い台所を掃除する若いカップル。

日本では、家庭内の役割分担が明確であることが多いのが特徴です。特に母親が家事や育児を一手に担うことが一般的です。一方、オーストラリアではパートナーシップに基づく役割分担が主流です。そのため、夫婦が協力しながら家を運営するスタイルが根付いています。

親との距離感と進路の選び方

日本の若者は、進学や就職の選択において、親の意向を尊重する傾向が強いです。しかし、オーストラリアでは、自分の意思で将来を決めるのが当たり前です。親はあくまでアドバイザーの立場にとどまり、決定権は本人にあります。

まとめ:違いを知ることで「ちょうどいい家族のかたち」が見えてくる

日本とオーストラリアの家族感には、それぞれの文化や歴史が反映されています。
「調和」を大切にする日本の家族、「自立」を尊重するオーストラリアの家族。
それぞれの家庭に合ったちょうどいい距離感や、自分たちにとって心地よい家族の形を見つけること。それが一番大切なことなのではないでしょうか。異なる価値観を知ることで、これまで当たり前だと思っていた家族との関係に新たな視点が生まれるかもしれません。

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この記事を書いた人

日本とオーストラリア、二つの国に縁を持つWebデザイナー兼ライター。
オーストラリア人のパートナーとともに、多文化な価値観に触れる日々を送りながら、三人のティーンエイジャーの母としても奮闘中。
このブログ「Two Country Life」では、実体験をもとに、日本とオーストラリアの暮らしや文化の違いを発信し、異文化理解の架け橋となることを目指しています。

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